-傍ら-






袁紹は元譲の家に足しげく通った。
少しでも多く元譲の時間を占めたかった。
曹操と会う時間を少しでも邪魔したかったか ら。
父には勉学の為学友と講義しあっている等の嘘でしのいだ。
気づいていないのだろう、 しっかり学べと相変わらず難しい顔で言うだけだった。
慣れてしまえばなんて事はないもんだなと思える。
おかしなものだ。
あんなに恐れていたのはなんだったんだ。
今の俺には元譲がいる、貴方に愛されなくとも 元譲がいる。
そう思えた。








今日も元譲の家に来ていた。

元譲ももう十四歳だった。
剣は道場に通い始めたこともあって凄まじい上達を見せていた。
一人前と半人前の中間のようなものだが元譲は一人前扱いしないと拗ねる。
拗ねるという行為自体が子供だなぁと思い苦笑したが言うと怒るので黙っていた。

相変わらず武人になると言って息巻いている、この分ならかなりの武将になるだろう。

剣ばかりじゃ駄目だと袁紹は兵法も熱心に教えた。
元譲は剣を振り回している方が好きだと言ったが袁紹も譲らなかった。

「兵法を無意識に出てくるほど頭に叩き込まないと」

そう言って書を渡した。
嫌そうに眉を寄せる、そんな仕草がおかしくてわざと知らんぷりする。

「本初、俺ね…」

珍しく歯切れが悪い。
辺りをキョロキョロとし、人の気配がないことを確かめる。

「俺、くちづけの仕方教わったんだ」

いたづらを共用するようにヒソヒソと告白する
邪気のない笑顔でとんでもないことを言 い出す元譲に驚いた。

「まだ早いよ」

まったくなんて女がいたもんだ。元譲はまだ子供だぞ…

「孟徳ってば凄いんだ、俺頭ぼんやりしちゃったよ」

ケタケタと笑いながらの言葉に面食らった

曹操に教わった!?頭ぼんやりした?

すぐに は理解できなくて黙り込む。

「孟徳ってばいつも女の人にあんなことしてるのかな」

目尻を赤らめて呟く。孟徳にされたくちづけを思い出したのだろう。
袁紹は頭から冷たくなっていくような感覚に襲われた。

元譲は俺のものだ…曹操になど渡しはしない…

そんな独占欲が袁紹の全てを支配した。

「元譲、俺と曹操どっちがうまいか試してみな」

そう告げて元譲の顎を掴むと噛みつくように唇を合わせた、とっさのことに抵抗もできず 舌の進入を許す。

竦んでしまっている舌を絡めとるように蹂躙していくと元譲の体がカタカタと震え始め た。
袁紹はそんなことかまってる余裕もなしにただ元譲を味わう様に激しく咥内を犯す。

「…ふっ…ん…ん」

元譲の口から甘い吐息が漏れ始める、袁紹は耳から入るその艶声に 思考も何もかもが痺れていくのを感じた。

息さえも奪うような激しいくちづけに元譲の体がぐったりとする。
抵抗しようと袁紹の 肩を掴んでいた腕はだらんと床に垂れ下がりピクリとも動かなかった。

ハッとして唇を離すと元譲は荒い息を吐きながら潤んだ瞳で袁紹をぼんやりと見つめている。
快感に免疫のない幼い元譲には、もう抵抗する思考さえ残っていないようだった。

元譲が見せる扇情的な表情に知らず唾を飲んだ。

もう止まれないかもしれない。

袁紹はそう思った。
床に元譲を縫いつけ再び唇を合わせる一瞬目を見開いたが眉根を寄せキツく瞼を伏せた。
そんな元譲を見てもやめてやる気にはなれなかった、歯列に舌を這わせ上顎を舌先でくすぐり自分のしたいようにし た。

ビクリと身体が跳ねる、初めての快感に戸惑いを見せながら寄せられたままの眉根に拒絶を表す。
唇を離し袁紹は細い首筋に己の唇を這わせた、ヒッと小さく悲鳴がこぼれる。
構わずに着衣の合わせを押し開き薄い胸板に指先で愛撫を施した。

「あっ・・んんっ・ほ・・本っ・・やぁっやだっ怖いっ!」

叫び声に愛撫の手を止め元譲を見ると頬には涙が流れていた。

「怖いよ・・本初、やめて・・・」

両手で目元を覆いしゃくり上げながら泣き続ける元譲に袁紹は自分の手が震えていることを知った。
全身を見ると元譲の幼い自身がささやかに存在を主張している。
袁紹が怖いのではない。初めて起きた自分の身体の変化が恐ろしかったのだ。

「ごめん、元譲・・大丈夫。男なら当たり前のことだから」

初めて快感に勃起した恐怖を取り去るように抱きしめながら優しくあやしてやる。

「もうしないから・・・」

袁紹の腕の中で啜り泣きながら元譲がうんうんと頷く。

こういう意味で元譲が好きだと気付いてしまった。

また抑えきれずに元譲に無理強いしてしまうのではないかと袁紹は思っていた。








続く



はい、第伍話です
何やってんのいたいけな子供に!
添花はショタ好きではありません(キッパ)むしろオヤジ萌です
曹操VS袁紹の元譲争奪戦ですか!?
生ぬるいですが苦手な方のため、裏にUPさせていただきました。
わざわざ裏に移動と面倒なことさせてしまってすみません。

2004.09.05