-浄化-





天幕に帰った夏侯惇は、酷く具合が悪そうだった。

それはそうだろう。人質にとられ、敵の中で単身柱に縛り付けられるのは精神的にも肉体的にも苦痛に違いな
い。



しかも…



人質として拘束され陵辱された。

韓浩は目に焼き付くその姿を思い出し、振り払う様に首を振った。

偲ぶ思いだけでも限界なのに、思い人の乱れた姿を目にしてしまったのだ。
欲望が胸の奥底で暴れる。

手首の手当てをしていると、時折夏侯惇の呻き声が耳に入り込む。苦痛を示す声を、脳は勝手に情事のそれへ
とすり替える。
手首に布を巻き、口元の傷を消毒する。口の端の切り傷が腫れ、唇がぽってりとしていて、それさえも色香を
発している様に見えた。

自分は重症だなと自嘲する。

布を温めに沸かした湯で絞り、下半身へと手を伸ばした。夏侯惇の体がビクリと竦むのが伝わってきた。


「韓浩・・・そこは・・・いい、自分でやる」


顔を上げると口を手で覆い羞恥に赤らむ頬で顔を背けていた。


そんな顔を見せられたら・・・


韓浩は邪心を払う為に深く息を吐き出し、夏侯惇の手へと布を握らせた。
脚を開き、内股からこびり付いた白濁を拭い出す。窄まりから滲み出る、陳宮のものであろう濁った液体に憎
々しげに眉根を寄せる。

「将軍・・・中も処理しなければなりませぬ」
「・・・・・・・・・わかっている・・・」


自ら後孔へと指を差し込むのは躊躇われるのだろう、溜息を零し下唇を噛んだ。



普段は殿がされているのか・・・

曹操の夏侯惇への寵愛ぶりは有名だったが、わかっていても韓浩は胸が苦しくなる。
夏侯惇は気づいていないようだが、曹操と夏侯惇の間に肉体関係があることは上層の人間には暗黙の了解だっ
たのだ。 勿論、曹操自身が隠そうとしないので、皆が知っているという事なのだが。
隠そうとはせず、時折見せつける様な行動をとるのは曹 孟徳という人間のただならぬ独占欲と嫉妬心からき
ている事も明白だった。

それでも、諦められない思いというものがある事を韓浩は痛い程にわかっていた。いくら主君の大切な人でも、
胸の奥底で燃え盛る恋慕は消せはしないのだ。

わかったと言いつつ、一向に困ったように溜息をつくばかりの夏侯惇に韓浩は席を離れようと腰を上げた。
流石に見られていたら、其のような場所の処理など出来るものではない。


しかし、一瞬縋る様な瞳で見上げられ、韓浩は息を飲んだ。
精神的に弱っているのはわかっている。
だが、傷付いた心を刹那覗かせた夏侯惇を、抱きしめたいという思いに抗うのは容易な事ではなかった。

煩い程に脈打つ鼓動を気付かれてはならぬと一歩下がると、無意識なままで再び縋られる。

早く天幕を去らねば…頭ではわかっているのに、韓浩は夏侯惇から目が離せなくなってしまった。


「………私がいたしましょう」


気が付いたら口走っていた。

夏侯惇の瞳が見開かれる。

頭の中で別の人格が警告を発するのを、どこか違う所から眺めているかのような不思議な感覚に、ただ思考は
混濁していった。

夏侯惇の前に膝をつき、辛うじて「失礼します」と発した。
窄まりに指を伸ばすと夏侯惇は身じろぎ後ずさる。韓浩は逆の手で胸を押し、後ずさる体を寝台に倒した。

「っ…元嗣!」


諫める為に呼ばれた字も無視し、窄まりに指を差し入れた。夏侯惇の体がビクリと波打つ。
蹂躙されたそこはいやらしい水音をたて驚くほどすんなりと韓浩の指を飲み込んだ。
中に出された精液を掻き出す為に、指を増やしぐるりと腸壁を撫でる。押し殺した声が苦痛と、少量の痛みと
は異なる感覚を匂わせた。


「くっ…ぅ…」


呻く声色に喘ぎが混ざるのを気づかぬ振りをし、韓浩はただ無言で指を進める。
内壁に僅かなしこりを見つけ、意図せぬ素振りでそこをなぞると悲鳴に似た掠れ声を上げ、夏侯惇の脚が戦慄
いた。
それを繰り返すと、目の前で少しずつ雄の証が存在を主張する様に起立していく。


「元嗣っ…そこはっ…っ‥駄目だっ…」


背筋を突き抜けるかの如く体を翻弄せんとする刺激に流されぬようにと、瞳を見開き宙を睨んだまま呼吸を荒
げる姿に、もっともっとと嗜虐の思いが込み上げる。
懸命に拒絶を表し内壁を攻め立てる指を止めようと掴まれるが、快楽に痺れた指先は添えられると言った程度
の抵抗しか出来ていなかった。


「元譲様‥このままではお辛いで御座いましょう…暫し心を殺して身を任せて下さい」


自分で煽っておいて…と心中で苦笑するも、暴走する思考は止めようという選択肢を取ろうとはしなかった。
すっかり起立してしまった雄にそっと指を絡ませ、上下に扱き出してやると抵抗する気力も体も陥落していく。


「ひっ…ぅ…」


潤んだ瞳は、既にきつく閉じられた瞼の奥に隠れ、睫を扇情的に濡らしていた。夏侯惇が鳴く箇所を重点的に
攻め、その度に跳ねる背を愛おしく見つめながら韓浩は薄く笑った。


例え今限り斬り捨てられようと、告げるつもりの無い想いが成就することなど有るはずも無かろうと…愉悦に
喘ぐ姿を目にした時から、抜け出せない沼に深く身を浸していく感覚に喜悦しか感じられなかった。


「元譲様‥その様に締め付けられては…」


目も眩む程の締め付けに自身を埋めたい欲望を抑え、ただひたすら夏侯惇を感じさせる事のみ動く指がきつさ
に動きを制限され、韓浩は中で緩く指を揺らした。


「あっ‥く…もぅ…駄目だっ!」


弱音を吐き限界を訴えると、雄の先端から弾けさせた白濁が夏侯惇の腹と韓浩の手を汚す。
達し小刻みに震える体を一瞥し、後孔から指を抜いた。
体内を出ていく感触にさえ感じたのか、普段よりも幾分高い声で鳴き残滓が微かに飛んだ。
栓を失った窄まりは余韻にひくつき、ドロリと陳宮の放ったものが掻き出されて流れ出ていた。

目眩がする程に情欲を沸き立たせる。

どんな美女でさえ此ほどの色香は発せはしないだろう…


韓浩はゴクリと喉を鳴らし乾いた唇を舐めた。


手早く汚れた体を清めてやると、夏侯惇は既に寝息を立てていた。疲れきった体は泥の様に眠りの淵へ落ち、
ピクリとも動かない。

衣服を直し、掛け布を掛けてやる。


「元譲様…ゆっくりとおやすみなさい…そして…目が覚めたら元通り一点の曇り無く綺麗なままの貴方なので
す…」

髪を撫で、微かに触れる程度に唇を落とした。




此の想い告げぬまでも…ただ一度だけのくちづけをお許しください…




柔らかな感触に満たされる胸中に、確かな温もりを感じ韓浩は目を細めた。








韓浩サイテー(笑/お前がな!)
つか、添が韓浩でもこの場合我慢できないっす!
惇兄ーいけないよ?そんな姿を見せちゃ(笑)
つか、エロになると嬉々として書く癖どうにかしてください・・・orz
何日かけて書いただろう・・・途中途切れると意味不明な文章になるなぁ;
やっぱ一気に書き上げちゃわないと駄目でつね

2005.12.01